スマホの自撮りで血圧測定が可能に、トロント大学が新技術の開発に成功
スマホ自撮りで血圧測定が可能に? カナダで新技術を開発
スマートフォン(スマホ)で自分の顔の動画を撮影するだけで、簡単に血圧を測定できる技術を開発したと、トロント大学(カナダ)発達神経科学のKang Lee氏らが「Circulation: Cardiovascular Imaging」8月6日オンライン版に発表した。
この技術を用いれば、顔の血流を画像化するだけで血圧を予測できるという。高血圧であると心筋梗塞や脳卒中の発症リスクが高まるが、自分が高血圧であることを知らない人も多い。
同氏らは「自宅でより簡便に血圧スクリーニングが行えるようになれば、多くの命を救えるかもしれない」と期待を示している。
Lee氏らが用いたのは、経皮光学イメージング(transdermal optical imaging)と呼ばれる新しい技術だ。
この技術は、皮膚を透過する光とスマホの光学センサーを用いて、スマホで撮影した顔の動画から血流のわずかな変化をとらえるもの。同氏らは、機械学習アルゴリズムを用いて、顔の血流データから血圧値と脈拍を予測する計算モデルを開発した。
なお、同氏は、経皮光学イメージングを用いて、顔の血流パターンで子どもの嘘を見抜く方法を開発しているときに、顔の血流と血圧が関係することを偶然発見したとしている。
Lee氏らは、カナダおよび中国で登録した計1,328人の正常血圧の成人を対象に、この技術による血圧予測の精度を調べた。
参加者には、経皮光学イメージングのソフトウェアを搭載したiPhoneを用いて、自分の顔の動画を2分間撮影してもらい、そのデータから計算モデルで予測した血圧値と従来の方法で測定した血圧値を比較した。
その結果、計算モデルでは収縮期血圧を95%、拡張期血圧は96%の高い精度で血圧を予測できることが分かった。
Lee氏は「スマホで顔を撮影してから30秒以内に血圧を高い精度で予測できることが明らかになった」と述べている。
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