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閲覧で感染「悪性サイト」排除へ 神戸大が対策ソフト

サイトを閲覧しただけでウイルスに感染する「ウェブ媒介型サイバー攻撃」の被害を防ごうと、神戸大などでつくる研究グループがパソコン(PC)向けのセキュリティーソフトを開発し、無償で利用できる実証実験を始めた。危険性の高いサイトへの接続をブロックするだけでなく、新たな悪性サイトを発見すれば自動的にブラックリスト化し、最新の攻撃に備える。リストは利用者が多いほど充実するといい、実験への参加を呼び掛けている。(田中陽一)

 2016年から神戸大や岡山大、KDDI総合研究所など7機関が合同で取り組む「WarpDrive(ワープドライブ)」プロジェクト。SFアニメ「攻殻機動隊S.A.C.」に登場し、電脳空間で情報収集や危険な状況を察知するキャラクター「タチコマ」にちなみ、ソフトは「タチコマ・セキュリティ・エージェント(タチコマSA)」と名付けられている。

 悪性サイトは巧妙化が著しい上に次々と作られ、既存のセキュリティーソフトだけでは対策が難しいとされる。17年には国内の企業や行政機関から少なくとも308万件の個人情報などが流出、または流出した恐れがあるほか、PC内のファイルを暗号化し、解除の代わりに金を要求する身代金要求型ウイルス「ランサムウエア」の被害も世界各地で出ている。

 そこで研究グループが開発したのが、感染の恐れがあるサイトを発見するとブラックリストを自動更新し、自ら“成長”していく技術。自身のPCだけでなく、別のPCにインストールされたタチコマSAともインターネット上で連携してリストを随時追加し、精度を高める。該当するサイトに接続しようとした場合は、警告メッセージが表示される。

 プロジェクトに携わる神戸大数理・データサイエンスセンターの小沢誠一教授(53)によると、典型的なウェブ媒介型攻撃では、起点となる入り口サイトに接続すると、瞬時に攻撃サイトまで転送されて感染する。このため「閲覧の一歩手前で食い止める対策が何より重要」と強調し、「より多くの悪性サイトをリスト化するため、ぜひ実証実験に加わってほしい」としている。

 タチコマSAはワープドライブのサイトからダウンロードできる。19年3月末まで実証実験を続け、結果を踏まえてソフトの使用期限延長や製品化を検討する。同センターTEL078・803・5753

 

☆出典は:

www.kobe-np.co.jp