(ヒット!予感実感)紫外線で固まる接着剤
歯医者さんが開発した一風変わった接着剤が人気だ。その名も「ボンディック」。海外の文具・事務用品などを輸入販売するオリエント・エンタプライズ(東京都台東区)が、カナダのメーカーから輸入し、2016年8月に国内で発売した。これまでの売り上げは目標の2倍の計17万個以上。従来の接着剤と何が違うのか。実際に使ってみた。
ボンディックの正体は液体プラスチック。無色透明の液体だが、付属の専用ライトで紫外線を当てると、わずか4秒でプラスチックになる。フレームが折れためがねで試した。接着面が小さく、これまでの接着剤ではうまく修理できなかった。
接着面に、ボンディックを塗っていく。紫外線を当てるまで固まらないので、焦って作業する必要もないし、指がカチカチにくっつくこともない。1ミリ程度の厚さに塗り終わったら、ライトを照射。確かにすぐに固まった。そわそわした気持ちで接着剤が固まるのを待っていた従来と比べ、「時短」の効果もある。
従来の接着剤と根本的に違うのは、ボンディック自体が新しい「パーツ」になる点だ。そのため、「3Dプリンター」のような使い方もできる。例えば、家具の欠けた部分に流し込んだり、プラモデルでオリジナルの部品を作ったりすることも可能だ。
紫外線を当てたとき、何が起きているのか。液体の状態では、分子が分離しているが、紫外線が当たると分子が移動して整列。硬いプラスチックになるという。
ボンディックは14年、ドイツの歯科医が開発した。歯の修復に使われていた技術を応用し、商品化にこぎつけた。DIY(日曜大工)が盛んな米国で大ヒット。評判を耳にしたオリエント・エンタプライズが日本で売り出した。高めの価格に当初は社内で反対意見もあったというが、堀江圭馬会長(48)は「使い方は無限大。ぜひ驚きを体験してほしい」と話す。(筒井竜平)
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【商品名】ボンディック
【価格】税抜き2980円
【販売】全国のホームセンター、家電量販店など
【対応素材】ガラス、金属、木、プラスチックなど
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