風邪を引いてしまう理由に「細胞が持つ2タイプの防御機構」が関係していると判明
「季節の変わり目や寒い時期になると風邪を引きやすくなってしまう」という人は多く、アメリカでは1年間あたり延べ5億人が風邪になり、そのうち200万人が入院するほど重症化してしまうとのこと。そんな風邪を引いてしまう場合と引かない場合の違いに、「細胞が持つ2タイプの防御機構が関係しているかもしれない」と研究で明らかになりました。
Regional Differences in Airway Epithelial Cells Reveal Tradeoff between Defense against Oxidative Stress and Defense against Rhinovirus: Cell Reports
https://www.cell.com/cell-reports/fulltext/S2211-1247(18)31304-4
Why Some People Catch a Cold and Others Don't
https://www.livescience.com/63552-cold-virus-defense-tradeoff.html
毎年多くの人が風邪を発症しますが、中には風邪を引き起こす代表的なウイルスであるライノウイルスなどにさらされても、体が風邪ウイルスに抵抗して風邪にならない人もいます。その一方で、あえなくウイルスにやられて風邪になってしまう人もいます。そこで研究チームは、健康な被験者から鼻孔の細胞と肺の細胞を採取し、風邪を引く場合と引かない場合の違いを細胞の防御機構という点から明らかにしようと試みました。
鼻と肺の細胞について研究チームが調査したところ、これらの細胞はウイルスに対する防御機構と、酸化ストレスに対する防御機構を併せ持っていることが判明。加えて、特に鼻の細胞はウイルスに対して強い防御機構を持っており、肺の細胞は酸化ストレスに対して強い防御機構を持っていることがわかったとのこと。つまり、鼻の細胞はライノウイルスなどの風邪の病原菌に強い抵抗力を持っている一方で、肺の細胞はタバコの煙などに対して強い抵抗力を持っているとしています。
研究チームは、鼻や肺の細胞を含む気道の細胞が持っている、ウイルスに対する防御機構と酸化ストレスに対する防御機構という2つの防御機構は、それぞれトレードオフの関係にあることを突き止めました。たとえば、鼻の細胞がタバコの煙にさらされると酸化ストレスに対する防御機構が働きます。その結果、鼻の細胞は酸化ストレスに抵抗する反応が強くなりますが、その一方でウイルスに対する防御機構が弱まり、ライノウイルスにさらされると風邪を引きやすい状態になったそうです。
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