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(ネット点描)プライバシー保護に効果 接続先残さぬ新サービス

「ネット上の住所」と記事で表現されるIPアドレスだが、正体は0~255の数字4組からなる番号だ。正確には「0.0.0.0」から「255.255.255.255」までの数字の並びで表記される。パソコンやスマホがネットにつながる時には、必ず一つの番号が割り振られ、ウェブサイトやアプリの接続先に割り当てられたIPアドレスと通信している。

 だが、普段目にするのは「www.asahi.com」のようなアドレス名だ。実は裏側でDNS(ドメイン・ネーム・システム)と呼ばれるサービスに問い合わせ、ネット利用者が知らない間にIPアドレスに変換をしているのだ。

 いわばネットの交通整理を担う重要なサービスは、世界の接続事業者が保有する。つまりDNSの通信履歴を見れば、ネット利用者の接続先や行動が丸裸となる。そんな懸念が以前から指摘されていた。

 米議会が昨年、オバマ政権時代に義務づけた接続事業者に対する顧客のプライバシー保護規制を撤廃した。ネット利用者がサイトを閲覧した際のデータ売買が可能になるなど、懸念が現実となりつつある。データが利益を生み出す時代を背景に、新たなプライバシー問題がくすぶり始めた。

 こうした懸念から生まれたのが、ネット利用者の通信記録を取らないDNSサービス「1.1.1.1」だ。IPアドレスが名前になったこのサービスは今年4月、IPアドレスを管理する非営利団体「APNIC」と米通信サービス会社が始めた。

 サービスの利用方法は簡単だ。ネット接続設定のDNSサーバーアドレス欄の1行目に「1.1.1.1」、2行目に「1.0.0.1」を入力すればよい。

 プライバシー保護に加え、政府機関によるネット監視から逃れる一定の効果もあるという。2014年にトルコ政府が国内のツイッター接続を遮断したが、このサービスが存在していれば、避けられた可能性もある。(編集委員・須藤龍也)

 

☆出典は:

digital.asahi.com